知られざる東大キャンパスのこんな話やあんな噂・・・
本郷キャンパスの悩みは土地不足です。
特に理系の研究室が最新の設備を兼ね備えた施設を造りたいと思っても、
なかなか未使用の空間は見当たりません。
古い建物を建て直そうにも、歴史的建造物も多いため、簡単にはいかない状況です。
歴史的建造物を保護するか、それとも解体して最新の建物を新たに建てるか、
というのは大きな問いです。
また最近は両立する道を探ることも多くなっているようで、
丸の内のビル街などでは、古い建物の正面部分だけを残し、
他は解体して新しくするという方法も見られます。
本郷キャンパスでも古い建物を生かすために様々な工夫がされているのですが、
今回ご紹介したいのは、その中で最も「印象的」なものです。
「ショッキング」と言ってしまってもよいかもしれません。
まずはこの建物をご覧下さい(写真1)。
安田講堂の近くにある工学部2号館です。
この建物、正面からだときれいに昔のままの姿で保護されているように見えます。
背後の現代的なビルがちょっとだけうっとうしいのですが、
狭いキャンパスなのでそれも仕方ないのかなとも思います。
ところが、この建物を横から見ると衝撃の事実が判明します。
何とあの高いビルは、古い建物の上に建てられているのです(写真2)。
しかも、不気味な長い脚で押さえ込むようにして。
私はいつもこの光景を見ると「宇宙船の侵略」をイメージします。
上のビルからぞろぞろと宇宙人が降りて来そうに見えませんか?
こうしたやり方には賛否両論あるでしょうが、
古い建物の保護を最優先したという点では評価できるのではないかと思います。
東京大学大学院博士課程満期退学。2006~07年に、英国・シェフィールド大学の修士課程に留学。専門は19世紀英詩。