知られざる東大キャンパスのこんな話やあんな噂・・・
前回は東大の「ドーバー海峡」こと、言問通りを話題にしました。
今回は少しキャンパスを離れて、
言問通り周辺を歩いてみたいと思います。
本郷弥生交差点から言問通りを根津方面に少し進むと、
右手に「弥生式土器発掘ゆかりの地」と刻まれた石碑が目に入ります(写真1)。
明治時代にこの近辺で土器が発掘されました。
その土器のかたちが縄文時代のものとは明らかに異なっていたため、
土器がつくられた時期をこの場所の地名を借りて「弥生」時代と呼ぶことにしたとのことです。
東大の本郷キャンパスは赤門側から見るとお茶の水や後楽園に近いのですが、
裏側はすぐ谷根千一帯です。
ですから、もし土器の発掘場所が少しでもずれていたら、
弥生時代の代わりに「根津時代」とか「谷中時代」が誕生していたかもしれません。
ネーミングというのは結構偶然に左右されるもののようです。
言問通りのその名も「弥生坂」を下って少し北に向かうと、
真っ赤な社殿の根津神社に行き当たります。
毎年ゴールデンウィークの時期にはツツジがきれいに咲きそろいます(写真2)。
緑豊かな神社ですので、
本郷キャンパスからちょっとだけ足を伸ばせば、
今の時期も爽やかな散歩を楽しむことができます。
東京大学大学院博士課程満期退学。2006~07年に、英国・シェフィールド大学の修士課程に留学。専門は19世紀英詩。