―第6回― 全体にまとまりのない大学
12月に入り、東大のイチョウも一気に色づきました。写真は、正門前のイチョウ並木の光景です。石畳にも落ち葉が散らばっていてとてもきれいです。一番の見頃の時期はもう終わりかけているのですが、まだ安田講堂よりのイチョウの葉は青いのでもうしばらく楽しめると思います。正門前だけでなく赤門前や総合図書館前のイチョウ並木も必見です。
前回、東大のロゴにもイチョウの葉が描かれていて大学を代表する植物なんだと書きましたが、東大にはイチョウの他に大学全体を代表するものはあまりないかもしれないことに気がつきました。あと強いて言えば、安田講堂くらいでしょうか。ただこれには反論もあるかもしれません。確かに全学部の卒業式が行われる場所であり、大学のパンフレット等にも必ず写真が載るという意味では大学のシンボルなのですが、本郷キャンパスに通うことのない東大生も一定数いるので、その人たちにとってはあまり縁が深いとはいえないかもしれないからです。特に駒場キャンパスで大学生活を過ごす人たちにとっては、安田講堂よりも駒場一号館の時計台の方がよほど愛着があるのではないでしょうか(駒場の時計台の写真は次回紹介したいと思います)。
あとこれはあまり知られていないかもしれないのですが、東大には校歌がありません。数年前に校歌を制定しようという動きもあったのですが、結局なくてもいいじゃないかという意見が優勢だったようです。ただ、やはり入学式や卒業式、それに六大学野球のときなどには歌も欲しいですから、そういうときには、「ただひとつ」か「大空と」が歌われます。「ただひとつ」は戦後まもなくくらいに公募で学生が作詞作曲した歌、「大空と」は戦前からの歌で、北原白秋作詞、山田耕筰作曲の歌です。でもおそらく歌詞を覚えている学生はあんまりいません。
それから東大にはつい最近まで大学全体の同窓会組織もありませんでした(各学部が組織しているものは以前から見られるのですが、それも学部次第で、私がいた文学部には学部としての同窓会組織はないはずです)。2008年に赤門学友会というのができたので、これからだんだんと組織化されていくのだと思います。あとは、旧帝大の卒業生が入ることができる学士会という同窓会団体もあるのですが、これは東大だけの組織ではありませんし、また会員になっている卒業生の割合もそんなには高くはないのではないかという印象です。こんなふうに全体にまとまりのない感じが東大らしくていいと個人的には思います。
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