―第29回― 駒場らしさ
今回は本郷から離れ、駒場キャンパスを歩いて「駒場らしさ」を探してみたいと思います。京王井の頭線の駒場東大前駅を降りるとすぐ目の前にキャンパスが広がっています。その点、本郷より交通の便はいいです。京王線に乗らなくても、渋谷駅から松濤の高級住宅街を抜けて徒歩2、30分といったところです。
東大学部生の1、2年生全員が通う駒場には若さが溢れています。私が今回駒場を訪ねたのは11月のある晴れた土曜日のこと。キャンパス奥のテニスコートでは、思い思いの格好に仮装した男子学生が何十人も集まってテニスをしていました。女装をしている人もいれば、水着姿もあるといったような感じでやりたい放題。こういうのが駒場らしいと思いました。絶対に本郷では見られない光景です。
あと駒場らしいのは、何と言っても立て看板です(写真1)。部活やサークルの勧誘、政治的主張などが書かれています。ちょうど11月末の駒場祭を控えた時期なので、それに関連するイベントの看板も見られました。昔に比べればおとなしいものですが、それでもごちゃごちゃとあちこちに立て看板が見えるというのは駒場らしくていいなあと思います。
駒場キャンパスに設置されている東大教養学部の前身は、旧制第一高等学校です。立て看板を眺めたあとで視線を足元に向けると、「一高下水」と刻まれたマンホールの蓋も見つけることができました(写真2)。ほかにも「第一高等学校 電」というものもありました。マンホールの蓋が語る東大の歴史シリーズ第2弾です。(ちなみに、
第8回
の記事が第1弾です。本郷キャンパスにある「帝大下水」の蓋を紹介していますので、ぜひそちらもまたご覧下さい。)
一高時代からの建物は、時計台、講堂(900番教室)、博物館(かつては図書館)など、キャンパスに点在しています。そのような古い建物群のなかでひときわ輝いているのは「三昧堂」ではないでしょうか(写真3)。1940年に建てられた座禅堂で、現在も座禅サークルの活動で使用されています。本郷キャンパスには座禅堂はありませんので、これもまた駒場らしいと言えるのではないかと思います。キャンパスの西のはずれの林の中にひっそりと佇んでいます。
写真1
写真2
写真3
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