―第22回― スクラッチタイル
前回に引き続き、細部から東大を眺めてみたいと思います。本郷キャンパスを歩いているとこのような形状のタイルをよく目にします(写真1)。例えば、正門から安田講堂に続く銀杏並木沿いにある建物の壁は、このタイルで覆われています。色は茶色、形は長方形で、何の変哲もないふつうのタイルのようですが、目を凝らすと縦に引っ掻いたような跡が刻み込まれているのがわかると思います。そのためこの種のタイルのことを「スクラッチタイル」と呼ぶそうです。
スクラッチタイルは昭和初期に流行ったものだとのこと。他にはフランク・ロイド・ライト設計の帝国ホテルでも用いられていました。その当時建てられた東大の校舎(特に内田ゴシックと呼ばれる一連の建物)では流行を取り入れて、このタイルを使ったということなのでしょう。
結構ミーハーだったんですね。
東大キャンパスを歩いていると、建物の外壁以外にもこの「スクラッチタイル」を発見することが多いです。例えば、農学部や小石川植物園の塀にもこのタイルが用いられていますし、また意外なところでは正門前の掲示板(写真2)にも使われています。何もここまで徹底しなくても!と思ってしまいますが、逆に言えばこのタイルが東大らしい風景に欠かせないと見なされている証拠なのかもしれません。ただし、東大のシンボル安田講堂の外壁はスクラッチタイルではなく普通のつるつるしたタイルです。
写真1
写真2
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