―第21回― 門と紋
東大本郷キャンパスには、重要な門が二つあります。一つは、おなじみの赤門。もう一つは、赤門から本郷通りを北に約200メートル歩いたところにある正門です(写真1)。
赤門のインパクトが大きいために、赤門が東大の正門のようなイメージですが、本物の正門にしても安田講堂へと続く銀杏並木のとっかかり部分に位置しているので、それなりの存在感はあります。正門がつくられたのは1912年ということですので、もうすぐ100歳。こちらは純和風の赤門とは異なり和洋折衷風で、門扉には波文様があしらわれていたりしてなかなか凝ったつくりになっています。しかも、門扉の上のほうに視線を送ると、菊の紋章が目に入ってきます(写真2)。これは帝国大学だったころの名残りなのでしょうか。
「門と紋」のつながりと言えば、赤門にも紋がついています。本郷キャンパスの土地のかつての持ち主であり、赤門をつくった加賀前田家の紋「梅鉢紋」です(写真3)。赤門の瓦に刻み込まれています。
ちなみに、農学部がある弥生キャンパスはかつて水戸黄門で有名な水戸徳川家の中屋敷でした。となると、ひょっとしたら農学部では黄門様の印籠についている、あの三つ葉葵の紋を見つけることができるのではないかと期待してしまうのですが、残念ながらそう話はうまくいかないようです。
写真1
写真2
写真3
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