―第12回― ドーバー海峡を横断
東大にはその名も「ドーバー海峡」と呼ばれる場所があります。通常、ドーバー海峡というと、イギリスとフランスのあいだに横たわる海峡のことを指しますが、東大ではこの道路(写真1)のことを冗談でそう呼びます。
実は、そんな呼び方をしなくても言問通りという立派な名前を持っているのですが、ドーバー海峡と言われるゆえんは、この道路が東大の二つのキャンパスを隔てている点にあります。写真で見ると、向かって右側が本郷キャンパスで、左側が弥生キャンパスです。本郷キャンパスと言えば、安田講堂や赤門がある東大のメインキャンパスですが、一方の弥生キャンパスには農学部がひそやかに鎮座しています。ただでさえ本郷から弥生に足を踏み入れることはめったにないのですが、更にお互いの間に交通量の多い通りが横たわっているので「あちら側」が何となく遠く感じる。「ドーバー海峡」という名称には、そのようなキャンパス間の心理的距離感(?)がこめられているような気がします。
ただし、本郷と弥生のどっちがイギリスでどっちがフランスに当たるのかというのはさだかではありません。(何となく、弥生の方が面積が狭くて、孤立している印象もあるので、イギリスなのかなという気もします。)
ちなみに、本家のドーバー海峡には、いまや英仏海峡トンネルがあり特急列車ユーロスターに乗ってお互いの国を行き来することができますが、東大の「ドーバー海峡」には歩道橋(写真2)が渡されています。横断所要時間は1分弱。本当に手軽なドーバー海峡横断旅行です。
写真1
写真2
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